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潟Iリエンタルコンサルタンツ
 
 
 常任顧問
 
 土木学会フェロー
 
  横溝 幸雄(建設部門)

 私は1958年に大学土木工学科を卒業後、一貫して、当時は珍しかった建設コンサルタントとして現在まで過ごしてきた。大学でプレストレストコンクリートに関する卒論と当時計画された名神をはじめとする高速道路、新幹線との出会いがなかったら、現在が無かったと思っている。

 最初の10年程度は、ただただ橋梁設計を2人前請負い無我夢中であったが、コンサルタントとは何かを考えるに及び、業界、会社も順調な発展をし、自己も専門に留まることなく活躍させて頂き、近年では、技術者数百人の会社の技術本部長、長年に亘る学会協会等の委員、大学の非常勤講師、専門書の執筆などで現在まで、日の当たる状態で過ごさせて頂いた幸せ者と自負している。

 技術士との関わり合いは、1968年にまる9年で登録したが、その前年筆記試験で書いたあやふやな事を面接迄に調べず不合格になった苦い経験がある。10年以上前には試験委員を仰せつかったこともあり、関心がある。当時の技術士取得は、誤解を恐れずに言うと「生死」にかかわるもので、その後「技術士運転免許証論」「技術士の有効活用で無定年論」でいろいろ指導してきたが、そろそろ受けてみようかなどと言うのが多かったように記憶している。

  さて、技術の資格を世界的に考えなければならない状況にあり、ここ数年JICAの仕事をさせて頂いたことなどから、定年を挟んだ熟年者50〜70才レベルの技術者の活躍に関心をもって行きたいと思っている。一つだけ記すと健康を条件として、年齢、年功賃金を原則無視した活躍の場ができれば良いと考えている。 最後になりましたが、ゴルフ、アルコール等人並みのことはしておりますが、仕事以外で唯一、一昨年にJAZZの発祥地、ニューオーリンズを訪問したのを特記して終わりとします。

褐F谷組
 
 
 土木事業本部
 
 土木技術部長
 
  北原 陽一(建設部門)

 先日、幹事の方からお電話をいただき、会報への投稿依頼がございました。「中身は何でもいいのです」と言われ、お引き受けいたしましたが、後日、参考にいただきました4人の方々の文章を拝見し、「しまった」と思いました。当社は企業内技術士交流会に参加してまだ2年目で、私個人としても不勉強で皆様方の活動の中身をまだ熟知しておりません。そこで、的外れを承知で当社の技術士の取得状況などについてお話をさせていただきます。

 当社には約160人(本年4月の予測値)の技術士がおります。ちなみに私の部署には27人の技術士がおります。4〜5年前までは毎年10人程度が合格するのですが、ほぼ同数の人が退職するため、約100人で推移しておりました。近年、建設業の技術検討等において技術士資格が求められるケースも増加しつつあり、3年前から私どもの部署で技術士取得支援(啓蒙活動/上司等の理解促進/試験対策等)を始め、3年で約90人が合格いたしました。私は15年前に取得しましたが、当時とは周辺の環境が大きく変化し、資格取得への機運がかなり高まってきました。もちろん合格には本人の努力が一番ですが、上司の理解や協力などの環境整備も必要なことを痛感しております。

 ご承知のように、景気の低迷が続き、マーケットの縮小が競争原理に拍車をかけ、建設業に厳しい淘汰の波が押し寄せております。生き残りをかけ、リストラや業務効率の向上が叫ばれる中、個々人の責任がより強く求められております。資格を武器にいかに活躍するか、常に資格に恥じない業務を実施しているか、また、資格の効率的取得をいかに行うか、皆様方のお知恵を拝借いたしながら考えていきたいと思っております。ご指導ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。

樺キ大
 
 
 総務部長
 
 
 
  草原 義博(建設部門)

 私は建設コンサルタントの技術屋として入社後10数年間、橋梁や各種構造物の設計・耐震検討・実験・調査等の業務を担当してきました。当時優れた技術力や業務のまとめ能力、事業推進に向けて地域住民やクライアント等との調整能力等、技術者としての高い倫理観、責任感の必要を痛切に感じていた時でもありました。そのような信念のもと積極的に業務へ取組み、優れた技術屋に育とうと努力するようになりました。その甲斐あって、1974年31才で建設部門(鋼構造及びコンクリート)を取得しました。

 その後、建設環境関連の業務を担当するようになり、当時建設部門は建設関連科目のみであり、環境科目が制度化されていないことへの疑問を抱きました。その頃建設事業を進める際は環境への配慮は欠かせないものになってきていました。1990年時を合わせるように建設部門への環境科目新設の話が持ち上がり、当時建設省大臣官房技調室谷口さんが中心となり建設部門に建設環境を新設するとのことで科学技術庁技術士担当部署と精力的に交渉いただき、また建設コンサルタンツ協会田村専務理事を中心に私(当時環境専門委員会委員長)、建設技術研究所井出さん(副委員長)、各委員でその新設に向けて活動しました。

 その甲斐あり、1992年建設部門に建設環境が新設され、最初の試験が実施されることになりました。当委員会は谷口さん、田村さんの協力を得て、第一回の試験に向けてテキストを作成し、東京・大阪地区で建設環境受験セミナーを開催しました。手前みその事ですが私もその一回目に受験し建設環境の技術士を取得しました。その後、各部門にも環境科目が続々新設され、2年後には環境部門も新設されました。

 それから8年、現在建設部門建設環境の合格者数が600名弱になり、日頃資格者は環境を考慮した建設事業に貢献しています。現在APECで日本の技術士を世界共通の資格としての位置づけを検討中であり、日本の技術士制度もグローバルスタンダードへ動きだしています。

日本信号
 
 
 鉄道信号技術管理部
 
 部長
 
  山本 正宣(電子・電気部門)

 人との出会いは、その時には何が起きるか不明でするが、出会いを大切にすると何かが得られる機会と期待がふくらみます。

 先日、不具合事項の原因追求で客先との打合せに行った帰り、直接帰宅するにはちょっと早い時間帯の電車で、偶然にある技術士の方にお会いしました。お互いに、なぜこの電車に乗ったかを説明し出会いを不思議に感じながらの会話中、不具合事項の原因追求に苦慮していることをお話しした所、ある論文を紹介しくれました。この論文と同一著者の関連論文に、今回不具合の原因が理論的に書いてあったのです。感謝感激でした。原因が判明すればその対策は取り易く、現在、原因を起こしている事象の数値把握とその対策を検討するための現地測定の準備中です。

 この方とは度々、企業内技術士交流会や学会の研究会でお会いしていましたが、仕事上の関係はありませんでした。本当に偶然の出会いで、悩んでいた事象の原因追求に大いに貢献したこの事を誰に感謝すれば良いのでしょうか。私を技術士の受験をする気にさせてくれ、現象に対する真の原因追求の指導をしてくれている客先の技術士の方を初め、技術に対し真摯に取組み、現象に対して常に前向きに理解をする努力をすることが、このような出会いの機会を与えてくれたのではないかと感謝しています。出会いを大切にしていくことが重要であることを痛切に感じた出来事でした。

 その方には後日、お礼と経過報告に伺い、論文の紹介が役立ったことを喜んでいただきました。今度一緒に呑める機会には、不具合が解決して、懐かしく話ができる出会いとなる様に、一層の技術力向上に努力したいと考えています。
 ヒューマンネットワーク構築にあまり関係ない話しですいません。

電気化学工業
 
 
 特殊混和材事業部
 
 技術部長
 
  安藤 哲也(化学部門)

 当社は、総合化学会社として、スチレン系合成樹脂、クロロプレンゴム、石灰窒素肥料、各種電子材料、生化学製品からセメント及びコンクリート用混和材まで多くの製品を製造しています。技術士は現在8名で、化学部門4名、建設部門3名、生物工学1名の構成です。
 化学会社でありながら建設部門の技術士が多い理由は、私が在籍しているセメント、特殊混和材事業部では、ユーザーである官庁あるいはゼネコンと建設材料について検討を進める際、建設技術に対する知見が不可欠であるためです。

 山陽新幹線のトンネル及び高架橋のコンクリートに対する耐久性の問題、高度成長期に建設されたマンションあるいは構造物全般の耐震性問題等、検討すべき課題は数多くあります。又、建設コストを低減するための新工法、新材料探索も重要です。
 5年程前、企業内技術士と社内技術を有効に建設業界に生かすため、テクノコンサルタント(株)を子会社として設立しました。この部門では、発注者、ゼネコン等から新技術開発の為の受託試験及び共同研究を実施しています。
 日本の社会資本充実のため、当社の保有する有機化学(接着剤を含む)、無機化学、プラスチック技術、セメント及び特殊コンクリート材料、技術を十分生かしたく考えております。
 また、海外においても特殊セメントコンクリート技術が適用可能か否か検討が必要です。更に他社の保有する施工技術、施工機械と組み合わせた新工法の開発も興味深いものです。

 企業内技術士交流会を通じ、以上の可能性の輪を広く伸ばして行ければと考えております。

三菱地所
 
 
 環境設備部
 
 上席参事
 
  加藤 知宏(電気・電子部門)

−時代を越えたヒューマンネットワーク−

 近年の社会情勢は、共産主義の崩壊、金融再編、地球環境問題等、既存の価値観が崩れ、さながら、我が国の近代国家としての幕開けである幕末を連想します。明治維新は、高杉晋作、久坂玄瑞や、明治政府の要人となった木戸孝允、伊藤博文等の“戦士”達によって成し遂げられたものでありますが、中でも、彼らの思想的原動力となったのが、萩の松下村塾であり、吉田松陰であります。
 彼の思想の根底に流れていたものは、「至誠」であり、今流に言えば「善良なる宇宙法則」とでも言うことが出来るかもしれません。彼は、その「至誠」によって、武士、農民、商人を問わず平等に、我が国の将来について、議論を戦わせておりました。彼は又、国の将来を憂い、外国の文明を吸収せんと、当時国禁であったペリー艦隊への密航を企て失敗、投獄され、日米不平等条約に反対し、安政の大獄にて没した“戦士”でもあります。現在でも、彼の書を読んで、心動かされる者は、私ばかりでは無く、正に、時代を越えて受け継がれる、ヒューマンネットワークとは言えないでしょうか。

 一方、我々が称している技術士の「士」は、「字通」によると、「王」と「士」とはその発生に於いて同じ「鉞:まさかり」の頭部を象形し、その小なるものは“戦士”階級を意味します。更に、学徳の立派な人の意、とも記しています。
 冒頭に述べましたように、今後の地球環境につきましては、問題が山積みされております。我々は、この地球を、次の世代に、確実に受け渡たしてゆく義務があります。

 我々は、本会及び、業務上のネットワーク並びに、家庭や学校、地域社会のネットワークに於いても「士」と称している以上、地球の将来に対して、メッセージを発信してゆくことが「士」としての使命では無いでしょうか。

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(株)長谷工コーポレーション
 
 
 技術研究所
 
 研究員
 
  木村 洋(水道部門)

 私は、エックス都市研究所というコンサルタント会社で、主に水環境計画に関するコンサルタント業務に6年半従事し、その後、集合住宅の施工会社である長谷工コーポレーションの技術研究所にて9年近く、集台住宅の給排水・換気設備の研究開発に従事する一方、居住環境、特に室内空気環境の改善に取り組んでおります。

 個人的には「環境」に興味を抱くなかで、この15年間、「水」と「空気」に関わるコンサルタント業務に従事しているわけですが、これからの技術者には、化学に関する基礎知識が重要であると感じています。今日、製造業においては製造から廃棄まで、化学物質による環境影響に対する配慮なしでは企業の存在はありえず、それは建築・土木の世界でも同様であると感じています。現在、私はIAQ(Indoor Air Quality:室内空気質)汚染対策の研究に携わっていますが、ホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合 物)などは身近な化学物質として生活環境に存在します。廃棄物処埋や大気汚染といった広域的な化学物質汚染から室内環境における化学物質汚染まで、化学物質は我々の生活環境を取り囲んでいます。

 これらの化学物質による環境汚染、それによる健康被害は我々が被害者であるのと同時に加害者でもあります。そして我々の生活は、化学物質に依存しないことは不可能であり、うまく付き合っていくことが重要だと思います。

 昨年の企業内技術士シンボジウム'98は、「ISO14000s」を主テーマとして開催されましたが、基調講演でもありましたように、各企業が企業経営の中に環境という側面をいれるとともに、各個人が地球環境を守るために何をするのかが問われていると感じます。環境を軸に世界が連帯することが重要であり、我が国では、その一翼を企業内技術士が担うことに、企業内技術士交流会の意義もあるものと思います。

三菱建設(株)
 
 
 技術研究所
 
 室長
 
  藤井 和俊(建設部門)

 大学では建築デザインを専攻した私は、別段建築設計を志向したわけてはなく、ゼネコンの三菱建設鰍ノ就職しました。会社に入社してからは、集合住宅などの建設現場に10年間、その後5年間、支店および本社でクレーム処理や新工法の指導に当たりました。現在の職務でもある研究職に就いたのは、昭和63年に大宮市に当社の技術研究所が設立されてからです。研究職務経験の中で主なものは、以下の様なものてす。

1.建築工事における高強度高流動コンクリートの施工性にする実験的研究
2.コンクリートポンプ工法における先送りモルタルの低減に関する実験的研究
3.高性能軽量コンクリートの研究開発
4.塩害により劣化した鉄筋コンクリートの補修方法に関する研究
5.高強度高流動コンクリ一トの打足し部における塩化物イオン浸透性と鉄筋腐食に関する研究
6.鋼板巻立て補強工法に用いるグラウト材の充填性に関する研究

 以上のように私の主な研究テーマは、現在新幹線のトンネルでの剥落で問題となっているコンクリートの施工性についてです。特に4については、技術士試験の経験論文のテーマであり、1については、学位論文のテーマでもあります。これからは積極的な建設投資を続けられるのも、あとl0〜15年といわれています。社会資本としてのコンクリート構造物の建設にあたっては、コストダウン一辺倒で質の悪い構造物を安易に作ることだけは忌ましむべきで、今後は維持管理費まで含めたライフサイクルコストの考えが主流になると考えられます。環境、補修・補強をキーワードに、変わらぬものと変わっていくものとの選定に注意を払いつつ、これからも次世代のために構造物の耐久性向上技術の開発に努めていきたいと考えております。

 最後になりましたが、以前に会報の中で「人は、書かれた情報で触発されるよりパーソナルコンタクトから触発されることの方が圧倒的に多い」との記述がありました。その意味からも本会が更なる盛況に続くことを切望します。

(株)朝日工業社
 
 
 技術本部 技術企画部
 
 部長代理
 
  関口 正博(衛生工学部門)

 先日、雪利用についての研究会に参加する機会があった。雪は北海道で生まれ育った私としては身近な話題であり、雪を考え直す良い機会であった。

 雪国の住人にとっては、雪は必要なところに必要なだけ降ればよいのであって、それ以外の雪については決して歓迎するものではない。雪に対する一般的なイメージを整理すると、次のように分類出来る。

@雪と楽しむ(スキー、雪祭り等)
A雪を日常生活の障害と考える
B雪を資源(水資源、冷熱源)として利用する。

 この中で、直感的に@とAを思い浮かべる人が多く、特にAの雪=障害と考えている人が多い。事実、除排雪等雪対策に要する費用は莫大なものとなり、ちなみに札幌市の除雪等雪対策に投人する費用は年間154億円(平成8年度予算)にも達するという。

 一般家庭においてもヒーティングを施したり、融雪槽を設置するケースが増えてきているが、このことは除雪に要する省力化もさることながら、除雪するにも雪の捨て場が少なくなってきていることも要因の一つと考えられている。ヒーティングも融雪槽も熱源が必要であり、投入されるエネルギーは融雪のみに消費されるだけであり、溶けた水や雪の持つ冷熱を有効に利用しているとは言い難い。

 最近、雪を利用した雪冷房施設、野菜の貯蔵庫施設が年々増加しつつあるが、もう一歩進めて地域規模での利用が可能になれば、CO2削滅、省エネルギーに寄与出来ると思う。

 昨今の環境問題を考えるとき、技術的課題、経済性評価等解決すべき点は多いが、雪を“障害”と考えずに貴重な冷熱源として活用する時期に来ているのではないだろうか。

(株)白石
 
 
 技術本部 開発技術部
 
 担当部長
 
  石井 通夫(建設部門)

 私は今年度の日本技術士会・プロジエクトチーム・企業内術術士交流会(以下、「交流会」と略称)の総務部会・会計主査担当で、技術士(建設部門)における選択科目は「土質及び基礎」、専門事項は「基礎」です。

 私の経歴は、地下工事での圧気工法に従事した後、高速道路ジャンクションやトンネル工事の現場代理人を経て、地下水面下70m相当の圧気環境における作業員の健康障害防止の施工技術推進(へリウム・窒素・酸素3種混台ガスを呼吸する圧気工法:第33回定例会技術紹介参照)を土木工学と医学との学際研究で行ってきました。その後、この工法の設備製作や作業員訓練等を指導し、実施工6件目の工事支援を現在行っております。来春には地下水面下60mの掘削地盤面を直接見ることになります。

 掘削作業は、掘削機を地上の運転室から遠隔操作する方式で、掘削機械等の修理を混合ガス呼吸をしながら圧気環境で行います。これが現時点の高気圧作業における作業環境整備と減圧症予防に貢献している方法です。混合ガス呼吸を利用した工事には、永久地下構造物建設の他に移動式ケーソン(1902年横浜港税関岸壁で採用され、以降消滅した工法)を復活して行う水底作業も考えられます。このアイデアでは、大深度での広範囲な掘工各種水底調査(断層、水中遺跡、遺失物)等を新たな対象としています。

 実務を通じて得た私のヒユーマンネットワークには、建設業関係とは別に、医学者、潜水関係者(防衛庁潜水医学実験隊、海洋科学技術センター、潜水会社)、および医療機器製造、高圧ガス製造や呼吸器具製造関係技術者との交流があり、異色の交流と自負しております。これらは「交流会」内におけるヒユーマンネットワーク形成にも活用できると考えております。

東急車輌製造(株)
 
 
 車両事業本部 設計部
 
 主任
 
  松岡 茂樹(機械部門)

 小生は、1986年の入社から一貫して鉄道車両の開発・設計に従事しております。1995年度に技術士を取得し、このような原稿を書く機会をいただきました。

 小生が技術士試験に本格的に挑戦しようと決意したきっかけのlつが、東急車輌技術士会の発足と技術土試験対策講座のスタートでした。

 東急車輛技術士会は、1994年の発足以来、最重要課題として会員数の増加、すなわち技術士/技術士補の取得支援を図っております。これまで4年間の試験対策講座から、技術士1名と技術士補5名が誕生しております。今では、発足メンバーの大先輩方の多くが退社・退会されたこともあり、代表幹事以外はすべて講座出身者という会員構成(つまり会員数7名)となっています。

 東急車輌技術土会では、会員数の増加に伴い、会社への業務貢献に向けて、試験対策講座のほかに新たな活動を展開しつつあります。

 1つは、TRIZ(トウリーズ)です。TRIZは、発明問題解決の理論という意味で、ロシア語の略称となっています。理論としてはロシアで生まれ、発明的に問題を解決する支援ツールとして近年アメリカで発展しています。当会では、TRIZの業務活用に向け、調査研究・提案・広報などの活動をしています。

 もう1つは、社内学習塾です。これは、社内技術者のレベルアップと横のつながりの強化に資するため、定期的に社内学習塾を開講するというコンセプトで、スタートに向けた準備をしています。学習塾の命は、まさにネタ(講義のテーマ)ですが、そのネタ集めには技術士の強カなネットワークを括用させていただきたいと思っています。

 東急車輌技術士会では、他社技術士会との連携なども視野に入れ、今後ますます活動を発展させてゆくつもりです。

松下精工(株)
 
 
 お客様ご相談センター
 
 主任
 
  長谷川 欽一(経営工学部門)

 当社は松下電器産業グループの中で住宅空調システム機器を主に、家庭電化機器および産業空調システム機器を製造しています。最近は、電化系から環境系へ事業領域の転換を図りつつあります。

 企業内技術士連絡会(旧)ヘは発足当初より前任の伊藤社長(技術士・機械部門)の意向により入会させて頂いております。当社では、約2000名の社員のうち5名の技術士がおります。私が技術士に合格して12年程になりますが、技術士の資格を知り挑戦できたのは、入社当初の上司であり、当時は生産管理(現在は経営工学)部門の技術士であった、票山仙之助先生(現在は摂南大学の学長:工学及び商学博士)の訓示によるところ大なるものがあります。

 先生は、昭和40年代の高度成長のさなか、会社員としては45歳定年説を当時から唱えておられ、自ら実践されました。現在でも阪神淡路大震災の被災にもめげず、高齢ながら第一線で活躍しておられるのをみていつも感嘆している次第です。

 私は、残念ながら45歳を遠に過ぎ先生のように独立は出来ておりませんが、情報処埋・資材計画及び購買・生産管理・生産技術・営業技術(SE)・新規開発営業・企画情報、そして今年度よりCS(顧客満足)部門と、いろいろ社内で業務の経験をさせて頂き有り難い事だと考えております。

 また、ここ10年程は実カのない分だけ少しでも日本技術士会のお役に立てれぱと中部支部の幹事や愛知県技術士会の理事等を引き受けてきました。おかげさまで今年は本部の会長表彰を受けさせて頂き、大変光栄に存じております。

 名古屋地区のため、東京での会合にはなかなか出席出来なくて残念ですが、今後とも会の発展に微力ながら協カさせて頂きますのでよろしくお願いします。



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川崎重工業(株)
 
 
 鉄構事業部
 
 品証総括部 部長
 
  鈴木 誠(建設部門)

 おなじみの方も多いと思いますが、赤坂のサントリーホールにはパイプ数5898本、ストップ数74本という大パイプオルガンがあります。両脇に重低音を受け持つペダル管がそそり立ち、中央部にトランペットよろしく突き出たボンヴァルド管を配したそれは眺めているだけでも十分に頼もしいが、初めの一音が鳴り出した途端に幽玄の世界に引き込まれてしまう雰囲気が良くて、幾度となく通っております。

 オーストリアはリーガー社製のこのオルガン、時として強奏時に油蝉が一斉にわめきだしたかの如き感を呈することもありますが、風圧のような超低音から輝かしい高音までまさに堂々たるもので、モーツアルトの曰く「楽器の帝王」たる偉容を体感させてくれます。音の立派さもさることながら、「もの作り」の良さも見事という他なく、ライトアップされて鈍く光る薄肉のパイプ材に全く歪みが見当たらないところからも工作技術の優秀さがうかがえます。このような芸術品に接してもついついその作りに目がいってしまうのは30年間も鋼構造物の製作現場で生産管理にたずさわり、身にしみついてしまった哀れむべき性のせいでしょうか。ここ数年はもっぱら品質保証活動を統括する仕事が主で、例のISO9000sによる「品質システム」では管理責任者としてシステムの維持・改善のとりまとめなどを行っております。ISOに関係するうちだんだんと深みにはまりこみ、英国IRCA、日本JRCAからそれぞれ主任審査員の登録を頂き、最近では社内でのプロモートばかりでなく、おこがましくも他社にまで出向き、登録準備を進めておられる会社の支援などをやっております。

 さて先のパイプオルガンにもどりますが、製品としてのでき栄え、出てくる音の見事さから、この一作のみをもってしてもリーガー社殿には品質システム名誉登録をさし上げたい位で、我社の製品もかくありたいものと願っている次第です。

 
(株)建設技術研究所
 
 
 
 品質管理センター長
 
 
  中矢 弘明(建設部門)

 私はこれまで30年余り、主として建設関係(土木)の調査・計画・設計に従事して来ました。思い返して見ますと、災害、水不足等自然現象とのかかわりの中で過ごして来たように思います。最近では、兵庫県南部地震や、昨年の年末に起こった姫川の土石流災害です。あの程度の土石流は過去の日本の災害事例では決してめずらしいものではありません。発生時期に特色があること、建設事業の関連において尊い人命が失われたので事故となり、又、マスコミの電波に乗ったのだと思います。日本は太平洋プレートの西端に位置する火山国であり、北海道から沖縄まで多様な気象条件下にあります。自然は時として私達に大きなインパクトを与えますが、正しい原因究明がなされ、今後の教訓として生かされることを願っています。
 
 私の勤務する建設コンサルタント業界は、平成6年時点で2,600社、従業員約8万人、総売上高8,400億円、技術士は4,700人が活躍しています。業界では現在ATI(エーティーアイ)21行動計画に基づき、将来に向かって行動しています。(ATI:Attractive, Technologically Spirited,Independentの略)
 
 社会資本整備の動向が不透明であること、入札・契約制度の改革への対応、経営基盤の強化、技術力の確保・向上、国際化への対応等、課題はたくさんありますが、私達建設コンサルタントの役割はこれまでにも増して重要になると思っています。従来の業務領域にこだわらず新しい視点に立った活動をしていかなければなりません。
 
 私の、今年の目標は「プラス思考」で1日1日を大切に頑張ることです。休日には小さな家庭菜園で大根やネギを作り、夏にはアユ釣りを楽しみ、農耕、狩猟民族の本能を呼び起こし、リフレッシュに役立てております。業務や趣味のネットワークを広げられればと思っています。どうかよろしくお願い申しあげます。
 
東急建設(株)
 
 
 
 技術研究所 土木研究部長
 
  佐藤康夫(建設部門)
         

 私は、昭和45年入社以来、作業所や技術部に所属している間、シールドトンネルに関わる機会が多くありました。施工に携わった全てのシールドトンネルは初期の技術レベルであったため切羽(トンネル先端)の地盤は目視できる開放型手堀りシールドでした。その後、技術部で関係したシールドは密閉型シールド機となり、切羽の安定は格段に向上し、補助工法の少ない経済的で安全・確実な工法となり、その結果、シールド工法は都市部の下水道などのインフラストラクチャー整備に大いに貢献しました。
 
 その後も市場ニーズの高まりと連動してシールドの研究・技術開発は絶え間なく続けられ成果を挙げています。例えば、シールド機では従来は円形断面のみであった断面を複数の円を重ね合わせた重合円断面、楕円形や矩形などの異形断面、大口径の中にそれより小口径のシールドを内蔵しておく親子シールドなど、覆工体となるセグメントでは自動搬送・自動組立システム、ボルトを使わない継ぎ手、台形や六角形のセグメントなどが実用化され、シールドの新工法は百花繚乱の様相を呈しています。ゼネコンとメーカーが主体となって新技術の開発を推進してきた訳ですが、これが可能となったのも大きな市場が存在し、ニーズとシーズが合致したからでしょう。
 
 今後、市場の一部は東南アジアに移ることも予想されます、日本で開発された高度な技術が国際競争力という課題を克服して採用されるケースも出てくるでしょうし、私も関係していきたいと思っています。私も関係していきたいと思っています。
 
 ところで、本年1月から技術研究所勤務となり、往復通勤時間5時間、情報通信の時代、何方か有効な通勤時間の使い方をお知らせ願えれば幸甚です。(sugar@etd.tokyu-cnst.co.jp)
   
飛島建設(株)
   
 
 土木本部 技術部
 
 設計第二課長
 
  村上 清基(建設部門)

 12月の初旬に、第4WGの土屋主査から原稿執筆依頼があった。締切が1月末とのことなので、正月休みもあると思い、お引き受けした。ところが、のんびり屋の私の常として、正月休みは子供と一緒の釣りやボーリング、会社と土木学会からの宿題等で瞬く間に過ぎてしまった。さて、今日は1月17日である。明日は、娘の前厄で佐野厄除大師に連れていけと女房が言う。来週の土日は、部内の有志でスキーに行く話が年明け早々に決まっている。今日中に仕上げねばと、パソコンに向かいはじめた。
 
 私は入社して24年になるが、最初の約17年は技術研究所土質研究室に在籍し、@盛土や土留め工事の情報化施工Aロックフィルダムの盛立材料を主とした粗粒材の強度試験(直径30cm、高さ60cmの供試体による大型三軸試験)等の研究や技術指導に従事した。この間に、高速道路の盛土工事の現場を2現場(新潟と北海道)、建設省土木研究所ダム部への出向等も経験している。その後、平成二年からは技術本部技術企画部で研究開発の企画・調整業務に携わり、土質関連技術だけではなく、建設技術全般へとある程度視野が広がったと思っている。平成5年から現在の部署に所属している。私の担当する課には、土質、地質及びトンネル設計のメンバーがおり、海外も含めて現場や支店等への出張が多く、皆が顔をそろえることが少ない状況である。現状の課題としては、内勤土木技術者の高齢化と若手不足であり、如何に技術の伝承を図っていくか関係各部署と検討しているところである。
 
 社外の活動としては、主に各種学会・工法協会であり、建設関係の方々とのおつきあいが多い中で、当連絡会のメンバ−は幅広い分野から参加しておられ、定例会、研修会及び懇親会等で色々なお話を伺うことができ大変勉強になっております。そのなかで、若手技術士の参加がもう少し有ればと思っています。